今から20年前、当時小学生だった僕は外で遊ぶことはほとんどなく、スーパーファミコンやプレイステーション、ニンテンドー64などをひたすらやり続けるゲーマーであった。
友達は皆FF7やドラクエ、パワプロ、ウイイレなどをやっていたが、そんな波に乗りながらも僕は密かに「ワールドネバーランド(通称ワーネバ)」というゲームでバラ色の人生を送っていたのだ。
ちなみに今回語るのは初代の「ワールド・ネバーランド〜オルルド王国物語〜」。
当時、僕の周りでこのゲームをやっていた友達はほとんどいなかった。いや、正確に言うとやっているのが結構恥ずかしいという風潮があったように思う。
だが、このワーネバは今のネットゲームとは一線を画すリアルタイムシミュレーションゲームで、ハマる人にはハマる神ゲーであることを断言しておきたい。
今回は、このワーネバの魅力について語りたいと思う。
いつもと口調が違うのは、この方が長文を書きやすいからである。
決して頭が良い振りをしているわけではないことをご了承願いたい。
ワールドネバーランドとは?
いきなりで申し訳ないが、8流大学出身の僕がワーネバを語るには少しIQが足りない。
そこでWikipediaの力を借りることにした。
『ワールド・ネバーランド 〜オルルド王国物語〜』(ワールド・ネバーランドオルルドおうこくものがたり)は1997年10月23日にリバーヒルソフトよりプレイステーション用ソフトとして発売されたリアルタイムシミュレーションゲームであり、『ワールド・ネバーランド』シリーズの第1作である。
引用:Wikipedia
そう、ワーネバはシリーズ化しており、他にも結構タイトルが出ているのだ。
オンライン版も出ているが、個人的にはオフライン版でCPUとの交流を楽しんでほしい。
特に一作目のオルルド王国物語は住人とのシュールなやりとりが面白いのだ。
ちなみにPSPで1、2が同時に楽しめるソフトが出ているので、PSPを持っている場合はそちらを購入するのがおすすめ。
基本的には何をやっても自由
「ワールド・ネバーランド 〜オルルド王国物語〜」は、オルルド王国の住人となって仕事や試合、恋愛、結婚などを通して一生を送る。
ゲームを起動すると、「夜明けを告げる鐘の音とともに、船を出そう-」という渋いおっさんのナレーションがスタートする。このナレーションは非常に世界観があるので、ぜひ聞いてみてほしい。
詳しくは後述するが、まずはキャラクターの性別、名前、所属オルグを決定するところから始まる。
キャラクターにはそれぞれ顔のグラフィックが割り当てられており、かなり種類がある。
ここではイケメンが出るまで何度も粘るのがこのゲームの基本。イケメンがいるということは、当然微妙な顔の奴もいる。
ゲームの世界でぐらいイケメンで過ごさないとやってられないのだ。
後、「ピートの剣」「バンの拳」「ユリウスの眼」という特殊能力を持っていれば鍛錬したときにパラメーターが上がりやすいのでおすすめ。
前置きが長くなってしまったが、プレイヤーはオルルド王国へ移住してきたところからスタートする。開始年齢は7歳。
オルルド王国の世界では7歳からが大人、そして寿命は30歳前後だ。そう考えると僕は今31歳なのでオルルド王国ではそろそろお迎えが来る頃。
シンプルで簡潔な説明が終わった後は、仕事をバリバリやってオルグ長や親衛隊を目指すも良し、鍛錬に励んで龍・バグウェルに挑むも良し、チンタラ暮らすも良しと何をしても良い。
ちなみに、移動できるのはオルルド王国内だけ。
一国の住人として、あなただけの人生をまっとうしてほしい。
作りこみが半端ないオルルド王国の世界
このワーネバ、やることはシンプルながらも世界観の設定が半端なく作りこまれている。
説明がめんどくさいので、またWikipediaの力を借りる。
本作の舞台となるのは「ネバーランド」と呼ばれる世界である。その中にあるオルルド王国は龍・バグウェルによって護られており、人口は100人ほどの小規模な国家である。政治体制は立憲君主国であり、「オルグ制自由主義社会」と呼ばれる経済体制である。通貨単位はピイで、シズニと呼ばれる神が信仰の対象となっている。
引用:Wikipedia
オルルド王国の世界観は、マップ内にある「メモ」を発見することで知ることができる。
メモには国ができた背景、オルグという組織ができた歴史など、オルルド王国のすべてが書かれているのだ。
このメモは取得するための条件があるので、全部集めるのは結構骨が折れる。
ちなみに、すべてのメモを集めるとオルルド王国の国王になることができ、国王になるとエンディングが流れる。
ワーネバには時間の概念があり、当然プレイヤーにも寿命が訪れる。
その生涯が終わりを迎えると、魂がシズニのもとへ還っていくのだ。多分そういう設定だったと思う。
なお、結婚して子供がいる場合はプレイヤーの権限を子供に譲り、また新たな人生をスタートさせられる。
そう、ワーネバは世代を引き継いでずっと遊べるゲームになっているのだ。
仕事
「働かざる者食うべからず」という言葉があるように、ワーネバの世界でも働かないとお金がもらえない。
オルルド王国の住人は「オルグ」と呼ばれる組織に所属し、そこで労働と武術に励むことになる。
オルグは「ピートオルグ」「バンオルグ」「ユリウスオルグ」「親衛隊オルグ」の4つであるが、親衛隊オルグは選ばれたエリートしか入ることができない。
各オルグにはランク外~ランクAまでの階級があり、ランクによって服の色が違う。
そのため、王国内では見た目だけで「えっ、そこのおじさんまだCランクなの!?ちなみに俺は10歳でAランクだけど何か質問ある?wダサすぎワロチwしかも独身とかw今まで何やってきたんですか?www」のような格差が生まれているであろうことは容易に想像できる。
この辺は、ある意味現実社会よりも露骨な嫌らしさがある。
仕事内容は各オルグやランクによって異なるが、仕事をしてもらえる「仕事ポイント」と、一年を通して行われる試合の結果によってランクが決まる。
なので、仕事をたくさんしても試合にずっと負けてたらランクが上がらない。
ゲームの世界でぐらい、上位のランクを目指したいものだ。
試合
各オルグでは、一年を通して同ランクのオルグ員によるリーグ戦が行われる。
ちなみに親衛隊オルグは「セシリア女王杯」というトーナメント戦。なので一回戦で負けたら次の年まで試合がない。
試合は剣術、体術、魔術の技を覚えて臨むことになるのだが、それぞれで相性があるため、相手がどの技を覚えているのか、またはどのパラメーターを鍛えているのかなどを見て作戦を立てると良い。
これは経験則ではあるが、試合は結構運に頼るところが大きい。だが、ゲームマスターである我々には「リセット」という強大な能力が与えられているため、試合に負ければ最悪時間を遡って再戦できる。
僕はこの戦法を利用して生涯負けなしのレジェンドになった。
そして、オルルド王国では4年に1度「ドラゴンドロップ杯」というAランクオルグ員によるトーナメント制の大会が開かれ、優勝すると龍・バグウェルと対戦できる。
セシリア女王杯もそうだが、ドラゴンドロップ杯では優勝者を予想して券売所で券を買い、見事優勝者が的中すると前評判の倍率分儲かる仕組みになっている。
そのため、自分が出た暁には券を買いまくって優勝した後に換金すると金持ちになれる。
え、「負けたらどうするの」って?負けることを考えて試合に臨んだら勝てるものも勝てなくなっちゃうよ。そんな弱気でどうするの。負けたらリセットしてやり直せばいいんだよ。
あと、龍・バグウェルはめっちゃ強い。
どれぐらい強いかというと、パラメーター全部カンストしていても負ける。
なので、ここぞとばかりに時間を操って何度も挑戦する必要がある。
そしてバグウェルに勝つと、何とバグウェルからオルルド王国の歴史を音声付きで話してもらえる。
この話はシリーズ化しているっぽいが、何せ4年に1度なので一回目の人生で全部聞くのはほぼ不可能である。
さらに、親衛隊オルグになるとドラゴンドロップ杯に出られないのも相当痛い。
オルルド王国最大の欠点は、親衛隊オルグに推薦されると断れない点だ。さすがにこれは時間を遡ってもどうしようもない。
せっせと子供を作り、子孫をつないでバグウェルに挑戦しよう。
バグウェルに勝つと「ドラゴンドロップ」というアイテムがもらえるが、このドラゴンドロップの効果はすさまじい。
どんな効果があるのかは忘れてしまったが、他人に盗られないように注意しよう。
大事なことを言い忘れていたが、ワーネバではアイテムを持っている状態で疲労が一定数溜まると、コトッとアイテムを置いてしまう仕様になっている。
こうなると近くの泉の水を飲んで体力を回復するしかないのだが、その間に誰かに持っていかれたらジ・エンド。
現実世界では他人のものを盗むと犯罪になってしまうが、ここはオルルド王国。物を盗まれても盗まれる方が悪い。
ちなみにアイテムは素振りをすると消滅させることができるため、嫌いな奴がアイテムを落とした瞬間に消滅させると心がスッキリする。
話が脱線してしまったが、オルグの練習場や砂浜、崖のはしご上りなどで鍛錬に励み、ガンガン強くなって対戦相手をボロクソにしてやろう。
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